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カテゴリー: 太宰治

パンドラの匣 感想

新潮文庫版 以下ネタバレあり 「正義と微笑」主人公の、少年期から青年期になるまでの物語。日記形式で書かれています。 挫折を感じるごとに、俳優になろうと思う主人公。兄は小説家を目指しているものの、作品はあまり書けていない様子が見られます。父はなく、長いこと伏せっている母と、作中で結婚する姉、その夫、伯母などとの関わりが書かれています。 姉が結婚して、主婦(おかみさん)へと変わってしまった場面が印象に残っています。カサカサに乾いていた。ふくよかなものが何もなくなっていた。利己的にさえなっていた。こんな表現が印象的でした。 一高受験の失敗など、挫折の話かと思って読み進めたら、劇団での成功を予感させる終わりが意外でした。 「パンドラの匣」結核の療養施設の話。主人公ひばりが友人に宛てた手紙の形式で書かれています。実は恋愛の話と言うところが面白かったです。 マア坊と竹さんという二人の女性に向けられたヒ…

太宰治「走れメロス」(集英社文庫)

収録作品 小説とエッセイの狭間 「燈籠」 「おしゃれ童子」 「新樹の言葉」 「上手い」としかいいようがない 何度でも、何作でも読みたくなる作家 収録作品 燈籠 満願 富岳百景 葉桜と魔笛 新樹の言葉 おしゃれ童子 駆込み訴え 走れメロス 清貧譚 待つ 貧の意地 カチカチ山 小説とエッセイの狭間 一人語りの作品は、小説でもあるような、エッセイでもあるような読み心地だと感じました。 以下ネタバレあり 「燈籠」「葉桜と魔笛」「待つ」など女性の一人語りの作品は、これを書いたのが太宰治であることを意識せずに読み進めていました。女性が自分のことを書いた、今ならばブログのような読み心地に近いかもしれません。語り手の主観からのみ書かれていて、自分の言いたいことばかりを書き連ねる。そこには少しの狂気も含まれています。 「燈籠」 盗みを行いながらも自分は悪くないと言い張り、「待つ」では誰かもわからない相手を待…